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火災に強い木造

近年、大規模・中規模高層木造は脱炭素化や森林資源活用の観点から世界的に注目されていますが、その防耐火性能の把握は大きな課題です。耐火性能の高度化と実設計をつなぐ理論の構築を目指しています。

歴史的木造建築の保存活用

伝統的建造物群保存地区等の歴史町並みや、文化財建造物、山間・離島等の孤島集落、東アジア等では、発生可能性がある火災規模に対して利用可能な消防力の維持が困難になりつつあります。持続可能な火災安全の枠組み開発に取り組んでいます。

災害時の人間行動

近年、社会の多様化や高齢化など、災害時には運動能力・聴覚・使用言語等に起因する多様な災害弱者が存在しています。多様化する災害弱者に対応した避難システムを目指して取り組んでいます。

Recent Projects

火災に強い木造

木材は他の構造部材と比べて軽量であるため、軟弱地盤上や既存建築物の上部に高層化して、限られた敷地を有効活用できる等、高層化による建築・都市的利点が大きいことが挙げられます。木材は加熱されると、防耐火性能は樹種や含水率などの個々の物性に大きく影響を受けることから、その研究開発は試行錯誤的に行われてきました。これらの特性が燃焼性状や力学的性能に与える影響を把握して、工学的な予測手法の構築に取り組んでいます。

以下から研究室で取り組んだ論文をダウンロードできます。

HOKIBARA, T. et al: COMPATIBILITY BETWEEN ENHANCEMENT OF FIRE RESISTANCE PERFORMANCE AND CROSS-SECTION REDUCTION OF WOODEN FIRE-RESISTANT STRUCTURAL BEAM
Cross-sectional configuration and light weighting of fire-retardant barrier made of Japanese cedar with 3-hour fire resistance

ENDO, T. et al: EXAMINATION OF HEATING CHARACTERISTICS OF STANDARD FIRE FURNACE TEST FOR EVALUATION OF THE MECHANICAL FIRE SAFETY OF BEAM
Distribution of incident heat flux on beam specimen during horizontal furnace test and its dependence on the span length of specimen

小規模文化財の火災対応体制

2019年の首里城火災や同年フランス・ノートルダム大聖堂火災を契機として文化財建造物防災の見直しが迫られています。特に、歴史的木造建築物では主要構造部の防火改修が困難であることから、管理者による火災の早期覚知・初期消火という自主防災の確実性が、早期鎮圧に与える重要度は高いと言えます。一方で、近年、管理者の不在や高齢化の進行から、管理者のみによる火災対応体制の限界と見直しの必要性も高まっています。それぞれの文化財の防災環境や事情に合わせた早期に火災覚知し、文化財価値の喪失を防ぐ火災拡大の抑制と鎮圧システムの構築に向けて取り組んでいます。

以下から研究室で取り組んだ論文をダウンロードできます。

HOKIBARA, T. et al: INVESTIGATION ON THE FIRE SAFETY MEASURES AND SYSTEMS OF SMALL-SCALE WOODENTEMPLES AND SHINTO-SHRINES REGISTERED AS CULTURAL PROPERTIES IN NARA PREFECTURE

歴史的木造建築活用のための避難安全

木造旅館等の歴史的木造建築物は文化的価値の保存活用や観光資源としての活用が促進されていますが、現行法下では既存不適格建築物であることが多く、増改築をして活用するためには大きな制約を伴います。そこで、避難安全性能を向上させ、活用可能性を高めるための早期の避難誘導に向けたシステムや遮煙設備の開発に取り組んでいます。

消防力が不足する地域の防災モデル

東アジア等の歴史的市街地では、防火対策の未整備のまま経済発展が進み、その保存活用に大きな損失が出る可能性が高まっています。特に、カンボジアをフィールドとして住民・事業者による自治防災や、公設消防体制の見直しを足がかりに都市防災モデルの策定を目指しています。

災害時の避難行動

自力避難困難者が多い病院病棟や高齢者施設等での避難方法の一環としてベッド・車椅子等による介助避難を構想し、避難先での医療継続も視野に入れた避難システムの高度化を目指しています。また、VR技術も取り入れながら災害時の人の心理状態や行動特性を把握することで、これらを建築のソフト・ハードの設計手法にフィードバックを目指して取り組んでいます。